コーヒー×花のペアリングが作る、日常を彩る習慣
2020年11月からサービスを開始した「LIFFT定期便」。私たちは暮らしに合わせた3つのプランを用意しています。その一つ「LIFFT定期便+(プラス)」は、お花とジャーナルの定期便に加えて、ブルーボトルコーヒーが季節ごとに世界中から買い付ける、旬のコーヒー豆(200g)がセットで届きます。
今回、ブルーボトルコーヒーのブランドキュレーターである村上雄一さんに、「コーヒー×花」のペアリングの可能性と目指すものにについて対談しました。その様子をお届けします。
Profile
村上雄一(むらかみゆういち)
ブルーボトルコーヒー ブランドキュレーター
上甲友規(じょうこうともき)
BOTANIC Inc. 代表取締役CEO
中目黒で出会ったコーヒーと花
上甲:ブルーボトルコーヒーさんとの出会いはもう3年以上前でしょうか?元々三軒茶屋カフェのファーマーズマーケットに出店させていただいたのがきっかけでした。
その後、2019年の秋頃に、ブルーボトルコーヒーさんから中目黒カフェの2F・3Fへの入居をお声がけいただいて。ちょうどBOTANICも移転先を探している時でした。
村上:はい、中目黒カフェもちょうどリニューアルのタイミングでした。
私たちの店舗にはそれぞれコンセプトがあるんですが、中目黒店は「コーヒーを楽しむ人を育てる」をコンセプトにリニューアルしようと。
上甲:カルチャーという文脈で、花とコーヒーは近しい存在だとも感じていて、そういったカルチャーを「育てる」というコンセプトにおいても、相性も良いと感じていただいたと思っています。
東京のカルチャーが集結する中目黒の地で、カフェと花屋が出会うことになりましたが、当時、BOTANICはどんな印象だったのでしょうか?
村上:BOTANICさんの花に対するこだわり、生産者さんをリスペクトするスタンスなど、業界は違えど共通する思想を持っていた印象です。
私たちも、BOTANICさん同様、コーヒーの味へのこだわりは産地とのコミュニケーションから始まります。
本国アメリカのGreen Bean Buyer(生豆:焙煎する前の豆のバイヤー)が、世界中の提携産地に出向き、生産者とじっくり話すようにしているんです。その土地土地のコーヒーの特徴を把握し、そして、その季節に最もおいしいとされるコーヒー豆を買い付けます。
信頼できる産地さんとのコミュニケーションは、良いものを提供するのに欠かせないステップだと思っています。
上甲:BOTANICでも、花の生産者さんに直接足を運び、圃場の花を見ながらお話させていただくことを、最も重要な活動の一つにしています。そうすることで、生産者さんとの関係構築はもちろん、花屋として、花やその生産のことをまた花屋とは違う視点から学ばせていただいています。
本物を届けるということ。花とコーヒー豆のそれぞれのこだわり
上甲:その後、オンラインでも「LIFFT定期便+」として、ブルーボトルコーヒーさんのコーヒー豆とのセット商品を、花のサブスクリプション、定期便の形で販売させていただいています。コーヒー豆とのセット販売の企画は、中目黒カフェについてお話する中での一つのアイディアとしてあがっていたと記憶していますが、当時その企画をスタートした際は、どのような印象でしたか?
村上:ブルーボトルコーヒーは「おいしいコーヒー体験は、人生をより美しくする」というミッションの元、カフェの運営を行っておりまして、そこに美しい花があれば、より一層充実するなと感じました。
その後、社内で共有したところ、「フレッシュなお花とコーヒーが毎月届く体験ってすごくいいね!」という、とてもポジティブな反応でした。
上甲:花とコーヒーの相性について、あらためて村上さんはどのように捉えていらっしゃいますか?
村上:コーヒーと花の相性に関して言えば、「こんなにベストマッチなものはない」と個人的に考えています。
コーヒーも花も、言ってしまえば日々の暮らしの中では「なくてもいいもの」かもしれない。一方で、生活を豊かにしてくれるものであると思います。シガーやワインなんかもそうですが、特に花やコーヒーは老若男女を問わず、誰にも受け入れられるものですしね。
上甲:はい。花もコーヒーとはまた違った形で、人の心を癒したり、笑顔にする、つまり日常に潤いを与える力があると考えています。
村上:そして、日常に潤いを与えてくれるものほど、その「質」が大事になってくるのでは?とも感じています。ここでいう「質」とは、単純に高価な、ということではなくて、「本物」であることです。
例えばコーヒーについては、産地の選定から焙煎まで、ブルーボトルコーヒーがこだわり抜いた「本物」のコーヒーで豊さを体験して欲しいんです。
その点、LIFFTさんも産地を訪問されて、品質の良い「本物」のお花をセレクトされていると思っています。
上甲:花における「本物」は、コーヒーのように味がない分、その評価は難しいのですが、他社のほとんどのお花のサブスクと違って、同じ花と比べても日持ちがすることや、プロが見て美しいものをこだわり抜いて選んでいます。
「心を耕す」体験を届けるということ
上甲:LIFFTの定期便には、15ページほどの紙の読み物(ジャーナル)を同梱しています。そのジャーナルを読むときに、その側にはきっと何か飲み物を持っているはずで…
村上さんは、どのようなシーンでこのセットを楽しんでほしいと考えていますか?
村上:そうですね…忙しい平日を過ごした後の休日、例えば土曜日の朝に、お気に入りの場所に座って、お花とジャーナル、コーヒーのある、ゆとりある時間を楽しんでほしいですね。
花の茎を切って、花瓶に飾ったり、コーヒーを淹れる。そして、ジャーナルで今月の花の情報や生産者の思い、コラムを読んで没入する…そんなイメージで、全身の感覚を使いながら、自分と向き合う豊かな時間を過ごして欲しいですね。
上甲:あらためて、花とコーヒーのセットで提供したい体験は、どの様な体験でしょうか?
村上:共通点も多いお花とコーヒーが、それぞれが相互補完して、五感に訴える新たな体験を創れるのではないかなと考えています。花では満たせない味覚を補い、コーヒーだけでは出せない色彩などの視覚的演出部分を補うような。
五感を使うことで、何か新しい発見をしたり、忘れていたことを思い出したりしますよね。そんな、「心を耕す」体験を届けたいですね。
上甲:「心を耕す」と言うのは具体的にはどういうことなのでしょうか?
村上:土地を耕して豊かな実りが生まれるように、心を耕すことで生活が新しい発見と感動に溢れ、ワクワクすることでしょうか。
ちなみに、カルチャーという言葉は、「耕す」を意味するラテン語”colere”に由来していて。土地を耕す、の意味が転じて、「心を豊かにする」の意味が加えられたと言われています。
上甲:なるほど。そういえば、9月号のコーヒー豆にはポエムがついていました。斬新なアイデアだと思いましたが、そう言った取り組みも、五感を使う体験を演出するためだったのでしょうか?
村上:情緒的な部分を伝えることで、おいしいコーヒー体験につながるのでは?と本国アメリカで考えられたものでした。アメリカでは詩が非常に好まれているようで。
近年何かと記号的なモノが増えている中で、ブルーボトルコーヒーは直接的な伝え方ではない方法にも着目しています。
上甲:LIFFTもこれまで花に関するジャーナルで、アーティスト・キュレーターとコラボレーションすることで、直接的ではない、コラムや物語を掲載する試みを行ってきました。
村上:この定期便の取り組みは、今までにない「花」と「コーヒー」をペアにした、新しい取り組みです。その中で、お互いに日頃から新しいことに挑戦しながらも、ぶれずに本物を追求して、より多くの花好きやコーヒー好きの方々の心を耕すサービスにして行けたらと思います。
上甲:ブルーボトルコーヒーさんとご一緒させていただく中で、我々も多くのことを学ばせていただいています。
ただ単に、お花やコーヒー豆を定期的に送るだけではなく、お客さまに新しい気づきを与えたり、心を動かすことを通じて、カルチャーを創っていきたいとあらためて思いました。
本日はありがとうございました!
お花とジャーナルの定期便に加えて、ブルーボトルコーヒーが季節ごとに世界中から買い付ける旬のコーヒー豆(200g)がLIFFT定期便とセットで届きます。