【胡蝶蘭特集】お祝いに贈りたいお花。花言葉や季節、贈る際のポイント

開店や開業などのお祝いに贈る花と言えば胡蝶蘭です。

胡蝶蘭は、幸せを運ぶお花である一方で、お悔やみのお花としても広く広がっています。お祝いとお悔みでは、真逆に思えてしまいますよね。

しかし胡蝶蘭の「花言葉」が関係しています。

こちらの記事では胡蝶蘭の花の特徴と、お祝いとお悔みの両方で使われている理由を花言葉の意味を元に解説します。

胡蝶蘭はどんなお花?

胡蝶蘭の特徴

ここでは、胡蝶蘭がどのような花なのか解説します。まずは、胡蝶蘭の概要を押さえましょう。

胡蝶蘭は亜熱帯の植物

日本人にとっても馴染み深い胡蝶蘭ですが、この花は台湾、マレーシア、フィリピンなどの東南アジア原産の植物です。本来は熱帯雨林などの大きな樹木や岩などに根を張って、空気中から水分を吸収して生きる着生蘭となります。

開花時期は4~5月頃ですが、温室栽培の技術が進んでいるため一年中花を咲かせられます。胡蝶蘭の生産者はビニールハウス内に高温多湿の環境を作って育てています。温度は20〜28℃程度、湿度は70〜80%に設定し、遮光された天井から日光を注がせています。

基礎データ

植物名

胡蝶蘭(コチョウラン)

学名

Phalaenopsis

和名

胡蝶蘭(コチョウラン)

英名

Orchid

原産国

東南アジア


肥料

胡蝶蘭に適切な時期に肥料をほどよく与えることで、株の成長を促せます。成長期に肥料を与えることで、大きな葉をもつ株に育ちます。

ただし、肥料を与えすぎては根を腐らせる原因になるので注意してください。また、弱っている胡蝶蘭に肥料を与えると、より弱ってしまうこともあるので気を付ける必要があります。

胡蝶蘭に肥料を与える際は、株の根を春から秋にかけて見て判断します。新しい根が伸びている状態のときは肥料を与えるのにちょうどよい時期です。胡蝶蘭に与える肥料は洋ラン用の肥料を選んでください。

また、冬の寒い時期は胡蝶蘭の株が弱っているため、肥料を与えるのは控えましょう。夏の気温が35℃を超える日も肥料が逆効果になることもあります。

病気と害虫

胡蝶蘭は病気になることもあります。病気の主な原因は細菌によるものとカビによるものがあります。

細菌による病気は進行が早く、感染力も強いので注意が必要です。例えば、葉に水に濡れたような斑点ができる軟腐病があります。この病気は葉が淡褐色にやがて変化し、強い腐敗臭を放ちながら腐敗します。腐敗部分は柔らかくブヨブヨし、手で触れるだけで組織が破れて軟腐病細菌が入っている水が出てきます。

軟腐病は気温・湿度の高い夏に直射日光などを当てた際になる葉焼けが主な原因です。傷んだ傷口などから細菌に感染し、発病することが多いです。

また、カビ(糸状菌)による病気には灰色カビ病(ボトリチス菌)があります。この病気にかかると花にシミのような小さい褐色の斑点が発生します。放置すると、斑点が大きくなり、緑灰色や灰色のカビが発生します。低温多湿(気温18℃前後、湿度100%)の状態が続くと、空気中に飛散しているボトリチス菌というカビが発生し、胡蝶蘭の組織内に入り込むことが原因です。

さらに、胡蝶蘭は害虫によって花がしおれたり、枯れたりすることもあるので注意が必要です。ハダニ、コナダニ、ナメクジ、コバエ、カイガラムシ、アリ、コナイガラムシなどは早めに駆除するようにしてください。

胡蝶蘭の花言葉

胡蝶蘭の代表的な花言葉は「幸福が飛んでくる」です。

蝶のような形をした可憐な花が、幸せを運んでくるイメージを喚起させるのです。

「幸福が飛んでくる」には、開店・開業・就任など、新たな門出を祝福する意味合いが込められています。

多くの人々に愛され、繁栄していくことへの願いが表現されているのです。

さらに、胡蝶蘭が鉢植えで贈られるのは「根付く」という意味から、「幸福が根付く」という縁起の良さも加わるためです。

このように、胡蝶蘭の花言葉は美しさだけでなく、贈る側の成功を祈る気持ちと、受け取る側の未来への希望を象徴しています。

胡蝶蘭がお悔みで贈られる意味と花言葉の関係

胡蝶蘭がお悔やみで贈られる理由は、白い胡蝶蘭の「清純・潔白」という花言葉からきています。

その高貴さと清純さは、故人への祈りを表現するのに相応しく、優雅で静かな美しさは悲しみの雰囲気に調和します。

実用面では、胡蝶蘭の長持ちする特性が重要です。長期間美しさを保つため、継続的な慰めとなります。また、香りが控えめで花粉も少なく、トゲや毒もないことも重要です。

文化的には、白い胡蝶蘭は仏教と関連付けられており、故人の魂の浄化を象徴するとされています。時間とともに、胡蝶蘭は日本の弔慰の文化に定着しました。

また、胡蝶蘭は和洋どちらの葬儀にも適しており、年中入手可能です。

このように、胡蝶蘭は美しさ、実用性、文化的意義、多様な葬儀スタイルへの適応性など、さまざまな理由からお悔やみの花としても広く知られています。

胡蝶蘭を長持ちさせるための育て方

ここでは胡蝶蘭を長持ちさせるための育て方を解説します。育て方のコツを押さえることで、大切な胡蝶蘭の成長を促し、病気を防げます。

置き場所と光

胡蝶蘭は室内で必ず育てるようにし、やわらかい光が当たる場所に置くのがベストです。

ただし、胡蝶蘭に直射日光が当たらないようにしましょう。日光が強い夏場は遮光カーテンで光の加減を調整することが大切です。

胡蝶蘭の温度・湿度について

胡蝶蘭はあたたかい地域の花なので、温度は最低でも10℃以上を保つようにしてください。理想の温度は20〜25℃程度で、人間にとっても過ごしやすい室温です。

この花は暑さには比較的強いものの、冬の寒さには弱く、冬場は枯れやすいので注意してください。

また、胡蝶蘭にとって湿度は70%程度がもっともよいといわれています。また、鉢の中が蒸れすぎると根腐れの原因になりますので、風を通すようにしてください。

胡蝶蘭の水のあげ方

胡蝶蘭の水のあげ方を誤ると枯れたり、弱ったりする原因になるので注意が必要です。また、胡蝶蘭の水のあげ方は時期によっても異なります。

気温が高い時期

バーク栽培(*1)の胡蝶蘭は4〜9月頃までは週1回たっぷりと水をあげるようにしてください。

また、水苔の胡蝶蘭には苔が完全に乾ききってから、水をたっぷりとあげます。

*1 バークはPHに値を胡蝶蘭栽培の最適地値に合わせている培養土のこと

気温が低い時期

10〜3月までは10日〜2週間に1回程度の頻度で水やりをします。

寒い時期に水やりを頻繁にすると根腐れを起こす原因になるので注意が必要です。

水やりの頻度は週に1~2回

胡蝶蘭の水やりは時期によっても異なりますが、週に1~2回を目安に行ってください。

胡蝶蘭は室内で育てる花なので、冬場も暖房の効いたあたたかい部屋に置いておくケースが多いと考えられます。室内の温度が高ければ気温が高い時期と生育環境が近くなるので、水をあたたかい時期と同じくらい与えます。

冬の乾燥は霧吹きで対策を

冬の乾燥時には、霧吹きでミスト状の水を吹きかけるのがおすすめです。霧吹きで水をかけることで、土や水苔全体を湿った状態にできます。

また、水を霧吹きで与えることで、水の与えすぎを防ぐことが可能です。

水やりの時間は朝が良い

胡蝶蘭には夜間に葉の気孔が開く性質があります。このため、 水やりは気孔が開いている朝10時までに行うのが好ましいといわれています。

鉢皿にたまった水は捨てる

水やりの際に鉢皿を使用して問題ありません。ただし、鉢底から流れて受け皿にたまった水は捨ててください。水が鉢皿にたまった状態を放置すると根が腐る原因になります。

胡蝶蘭を長持ちさせるための方法

胡蝶蘭を長持ちさせるには水を与えすぎないことが重要です。大切な胡蝶蘭だからといって水を与えすぎてしまうと、根腐れを起こし、枯れたり、花が落ちたりすることもあります。

また、ラッピングされた胡蝶蘭をもらったり、購入したりした場合には、ラッピングをできるだけ早く外すことをおすすめします。ラッピングされていると通気性が悪くなり、水をあげると中で蒸れることが多いです。根腐れの原因になるので気をつけてください。

正しい育て方を実践する

胡蝶蘭を育てる際は正しい育て方の実践が大切です。水やりの頻度はもちろんですが、成育環境にも注意する必要があります。

胡蝶蘭は室内で育てる花ですので、外に出さないようにしてください。室内の最適な温度は人間にとっても寒すぎたり暑すぎたりしない温度です。胡蝶蘭を10℃以下や33℃以上の場所に長時間置いておくと弱ってしまうので注意してください。

また、胡蝶蘭は日当たりがよく、風通しもよい場所に置いておくのがベストです。ただし、直射日光には弱いので注意してください。

胡蝶蘭の花が終わってももう一度咲かせられる

胡蝶蘭は花が咲き終わった時点で株が元気であれば、もう一度咲かせることができます。

株の状態を確認し、問題がなければ茎を根元からカットし、支柱を抜いてください。このあと、株分けを行います。

花が終わった胡蝶蘭の茎を一度すべて落とすことによって、株に栄養をゆっくりと蓄えさせることができます。

適切な植え替え時期(4月~6月)に植え替える

胡蝶蘭の植え替えは毎年行うものではありませんが、3~5年に一度の頻度で行う必要があります。

胡蝶蘭の植え替えは元気がよい時には必要ありません。株が弱った時などに植え替えをし、鉢の環境を変えて元気を取り戻させます。

蕾の数がある程度ある質の良い胡蝶蘭を選ぶ

胡蝶蘭は蕾の数がある程度あるものの方が少ないものよりも株や根に体力があり、より健康的といわれています。

胡蝶蘭を処分するときの方法

胡蝶蘭は華やかな花のイメージが強いため、花が落ちると茎と葉だけになったとさみしく思うこともあるでしょう。しかし、胡蝶蘭は花が落ちたからといって枯れたとは限りません。

胡蝶蘭が枯れたのか確認する際は葉を見てみてください。葉が一枚でも残っていれば、その胡蝶蘭は生きています。

また、根を見てみる方法もあります。根の全てが黒く変色していたり、干からびていたりすれば死んでいることが多いですが、1本でも太い根が生えていればその胡蝶蘭は生きています。

胡蝶蘭が枯れてしまい、処分する場合はそれぞれ分別してごみの日に出します。

・胡蝶蘭本体
枯れた胡蝶蘭を燃えるゴミに出せる地域がほとんどです。株の大きな胡蝶蘭は葉や茎を小さく切ってから捨てるのがおすすめです。

・植え込み材

水苔やバークなどは燃えるゴミです。発泡スチロールは地域によって分別が異なりますので、お住まいの地域のルールを確認してください。

・支柱

支柱にはプラスチック製のものも多いです。地域によって分別ルールは異なりますが、燃えないゴミに一般的に捨てます。

・鉢

鉢には素焼きの鉢やプラスチック製の鉢などがあり、使われている素材がそれぞれ異なります。お住まいの地域のルールに従って処分しましょう。

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まとめ

胡蝶蘭は華やかで、美しく、多くの人たちから国内外で愛されている花です。また、花粉や香りも少ないので、この花と一緒に過ごしやすいと思える人は多いでしょう。

胡蝶蘭を自宅で育てる際は正しい育て方を守るようにしてください。大切だからといって水をあげすぎると根腐りの原因になるので注意が必要です。正しい水やり方法を守り、風通しがよく、やわらかい光が当たる場所で育てます。

また、胡蝶蘭は花が終った後で、もう一度咲かせることが可能です。胡蝶蘭は美しい花を長く楽しめるので、大切に育ててください。