【金木犀特集】秋の訪れを告げる豊かな香りのお花。花言葉や季節、贈る際のポイント

ふいに出会うと、思わず深呼吸したくなるキンモクセイの香り。この香りは、私たちに夏の終わり、そして秋の始まりを知らせてくれます。

まるで砂糖菓子のようなかわいらしい小さな橙色の花。そして「千里香」という名がつくほど遠くまで香る、どこかノスタルジックな甘い匂いが魅力です。花言葉には「謙虚」「謙遜」「気高い人」といった、この花と香りから導かれたものが並びます。

ここでは、キンモクセイの花言葉について詳しく紹介。名前の由来や、香水としても人気が高いあのふくよかな香りについてもお届けします。

キンモクセイ(金木犀)ってどんな花?|基本情報

香りに気づいて見かけることはあるけれど、キンモクセイがどんな花なのかあまりよく知らないという方も多いと思います。どんな特徴を持つ花なのかをみていきましょう。

  • 開花時期・見ごろの季節は?
  • キンモクセイ(金木犀)の名前の由来
  • 銀木犀とは?

開花時期・見ごろの季節は?

キンモクセイの花の見ごろは、9月中旬から10月下旬にかけてです。開花は夏の気温の影響を受けるため、残暑が厳しい年は開花が少し遅れる傾向にあります。

うだるような暑さが少し落ち着いてきたころ、秋を知らせるあの甘い香りが、どこからともなく漂ってきます。

また、暑さが厳しい年は、9月に一度咲き終えたものの、10月にもう一度新しい蕾が開いて、二度咲きすることもあるのだそう。

花が咲く期間はとても短く、開花から3〜7日ほどで散ってしまいます。木の下に無数の花が散った様子はまた見事で、まるでオレンジ色の絨毯が敷き詰められているかのようです。

キンモクセイ(金木犀)の名前の由来

「金木犀」の名前は、同じモクセイ属の「銀木犀」に由来します。キンモクセイに比べるとあまり見かけることがありませんが、実は銀木犀はキンモクセイの原種。小さな白色の花をつけます。

この花の白色を銀色に見立て「銀木犀」と名付けられているため、鮮やかな橙色の花をつける樹木は、金色、「金木犀」とされました。「日本植物学の父」といわれる、植物学者の牧野富太郎が名付け親です。

また、この「金木犀」の「犀」の字は、あまり馴染みがありませんが、動物のサイを指す漢字。キンモクセイの樹皮が、サイの皮膚によく似ていることからこの字が当てられたそうです。

銀木犀とは?

キンモクセイの原種である銀木犀。花のころはキンモクセイより少し後で、キンモクセイが満開を迎えるころに咲き始めます。

キンモクセイと同じ形で白か淡い黄色の花を咲かせますが、キンモクセイが遠くまで漂う強い香りを持つのに対し、銀木犀は花に顔を寄せると、ふんわりとわかる程度に香るのが特徴です。

キンモクセイ(金木犀)の花言葉は?

キンモクセイの花言葉には、可憐な花の様を表した「謙虚」「謙遜」「気高い人」、またその魅惑的な香りを象徴する「真実」「陶酔」「初恋」などがあります。

「謙虚」や「謙遜」は、花の控えめな様子を象徴しています。遠くまで届くとても豊かな香りを持っているにもかかわらず、花はとても小さく、密になって咲いています。

また「気高い人」は、花を散らす様子を表した言葉。キンモクセイは花がしおれてしまう前に花を落とす習性があります。また、雨が降ると一気に花を散らしてしまうのです。この潔い様を「気高い」と表しています。

また、古い時代、中国の高貴な女性が好んでこの香りを身につけていたことにも由来するといわれています。

花言葉「真実」は、たとえ離れていてもキンモクセイの香りとはっきりとわかり、隠すことができないという意味。

「陶酔」は、思わず酔いしれてしまうほどのよい香りであるということ、そして「初恋」は、どんなに時が経っても忘れえぬ、心に残るよい香りであるということを表しています。

控えめでありながら、魅力を抑えられないキンモクセイにぴったりの花言葉たちです。

キンモクセイ(金木犀)の色別・本数別の花言葉

花によっては同じ種類でも色や贈る本数によって、花言葉が変わるものがあります。キンモクセイ自体は橙色一色ですが、その仲間には違う色の花をつける樹があります。

  • 色別の花言葉
  • 本数別の花言葉

色別の花言葉

キンモクセイの仲間に、原種である「銀木犀」があります。白い花を持つこの銀木犀の花言葉は、「あなたの気を引く」「初恋」「高潔」。

「あなたの気を引く」は、古く中国では、女性がデートに出かける前に銀木犀の花を漬け込んだお酒を飲み、その甘い香りを纏って出かけたことからつけられているといいます。

また、熊本や鹿児島に自生する「薄黄木犀」も、キンモクセイや銀木犀の仲間です。ごく淡いクリーム色をした小さな花をつけ、キンモクセイほど強くなく、銀木犀よりも豊かな香りを持ちます。花言葉は「謙遜」「真実」「ほろ酔い」「恋が実る」です。

「ほろ酔い」という言葉は、まさに薄黄木犀の香り、キンモクセイの圧倒的な香り「陶酔」と、銀木犀のほのかな香り「あなたの気を引く」の中間を表しているようです。

「恋が実る」というのは、日本には雄株しか存在しないキンモクセイに対して、この薄黄木犀は雌雄どちらもあり、実を結ぶことからつけられています。

本数別の花言葉

キンモクセイは、花数や枝数が変わっても、花言葉は変わりません。

 

キンモクセイ(金木犀)の香りはどんな香り?

花言葉にもあるように、うっとりと人を酔わせるようなよい香りを放つキンモクセイ。

どこか懐かしく、思わずキュンとなる香りです。

ここからはそんな魅力的な香りについてみていきましょう。

  • 三大香木の一つである金木犀
  • 金木犀を使った香水は多くある

三大香木の1つである金木犀

三大香木とは、とても強く、よい香りを持ち、日本で愛されている3つの花木をいいます。春先に咲く沈丁花(ジンチョウゲ)、夏に甘い香りを漂わせる梔子(クチナシ)」そしてキンモクセイです。

よい香りを漂わせ、季節の訪れを教えてくれる風物詩として、古くから日本で愛されてきた樹木です。

金木犀を使った香水は多くある

キンモクセイの学名は「osmanthus」。この香りは香水としてもとても人気が高く、国内外の多くのブランドが、「osmanthus」の名を冠した香水やボディクリームなど、香りを身にまとうアイテムを発売しています。

キンモクセイの香りは、他のフローラル系の香水に比べると、ちょっぴり個性があるのが魅力です。そんなキンモクセイの香水は、ブランドによって爽やかでフレッシュ感のあるものから、秋らしくコクのある甘さのものまでさまざま。

 キンモクセイの香りを香水として取り入れるときは、まずご自分の肌にのせてみて、第一印象から残り香まで、香りの変化を確かめてみることをおすすめします。

キンモクセイ(金木犀)を贈るときのポイント

キンモクセイの花言葉は、よい印象の言葉が並びます。また、どこか懐かしく、日本人にはとても馴染みのある香りを持つ花。贈り物にしても、とても喜ばれることでしょう。

ただ、キンモクセイは切り花としてはあまり出回ることがなく、花も短い期間で落ちてしまうため、香りが長持ちしません。贈り物をお考えなら、鉢植えがおすすめです。

 キンモクセイを贈るときには、以下の3点に気をつけましょう。

  1. 花言葉「謙虚」「謙遜」「気高い人」「真実」「陶酔」「初恋」を考慮に入れる
  2. 強い香りが苦手な方への贈り物には避ける
  3. 鉢植えの場合、育てやすいサイズのものを選ぶ

 キンモクセイは「真実」「陶酔」「初恋」など、恋人やパートナーに贈りたい花言葉を持つ花でもあります。

キンモクセイ(金木犀)の花言葉によくある質問

やさしく甘く香るキンモクセイですが、ちょっと違った一面もあるようです。おうちに迎える際に気になる点などもみてみましょう。

怖い花言葉はある?

キンモクセイの花言葉には、実は「隠世」や「幽世」といったものもあります。どちらも「かくりよ」と読み、あの世や死者の行く世界、という意味を持ちます。

これだけ聞くと、少し怖い花言葉のように思いますが、この花言葉にはキンモクセイの強い香りがもつとされる邪気や穢れを祓う力を象徴しています。

キンモクセイの香りは悪いものを寄せつけない、また退散させる力をもつため、神社やお寺にも多く植えられているのです。

庭に植えてはいけないって本当?

よい香りで、シンボルツリーとしても人気があるキンモクセイですが、庭に植えても大丈夫?という声が聞かれることもあります。もちろん大丈夫。

キンモクセイは生長旺盛なためとても大きく育つことがあり、害虫がつくことで、庭に植えることを心配する方もいます。

環境によっては、10メートルを超えるほど大きく生長することもありますが、適度に剪定することで、コンパクトに姿よく育てることができます。

キンモクセイにつく主な害虫は、カイガラムシや毛虫、ハダニなどがあげられます。できるだけ日当たりのよい場所を選んで植え、葉が密集しすぎないよう適度に剪定して風通しをよくすることで、虫がつくことを防ぐことができます。

鉢植えで売ってるの?

キンモクセイは苗木の状態で流通しています。丈夫で育てやすく、剪定することで樹高1〜2mほどのコンパクトサイズに仕立てることもできるため、鉢植えにして、屋内やベランダでも育てることが可能です。

販売されている苗木は、小さなものは20cmくらいからありますが、初心者の方には70〜80cmくらいまで成長した苗木がおすすめ。しっかり根も張っているため育てやすく、植え替えの回数も少なく済みます。

 

まとめ

日本の初秋の風物詩として、古くから愛されているキンモクセイの香り。

花言葉には、「謙虚」「謙遜」「気高い人」「真実」「陶酔」「初恋」などがありました。

とても小さく可憐ながら、豊かで人を惹きつける強い香りを漂わせ、どこか懐かしい気持ちを引き出す不思議な力を持つ花です。

キンモクセイのことを考えると、秋が少し待ち遠しいような気持ちになります。

 どこからともなく漂ってくる優しく豊かな香り。この秋は、いつあの香りを胸いっぱいに吸い込めるでしょうか。