長野産地レポート「JAみなみ信州」クレマチス

「Farm to Vase」をコンセプトに「生産者とのつながり」を大切にするLIFFTでは、全国各地の提携農家から新鮮なお花を皆さまのもとへとお届けしています。

「LIFFT定期便」6月号では茎の流れるような曲線と個性溢れる花姿が美しいクレマチスをお届けしました。その生産者の一人であるJAみなみ信州の池田剛さんを訪ね、沢山お話を伺ってきました。

今回の記事では、LIFFT Journalではご紹介しきれなかった切り花クレマチス生産の背景やこだわり、生産者の想いをたっぷりお伝えします!

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日本アルプスの麓で育つ「クレマチス」

JAみなみ信州は長野県飯田市に位置する花の生産地。冬は日照時間が長く、夏は冷涼な気象であることが花の栽培に適しており、標高400~1500mの標高差がある土地で100品目を超える様々な草花を生産しています。

その中でも近年多くの花屋から注目を浴びているのが切り花のクレマチス。これまでクレマチスといえば庭に咲く姿が一般的で、ガーデニングに向いた品種だと思われてきました。しかし、そんなクレマチスを花屋に流通させ始めた切り花クレマチス生産の第一人者、渋谷花卉園がこのJAみなみ信州にあったのです。

世界的に切り花のクレマチスを生産している農家は非常に少なく、とても貴重な花となっています。昨年、渋谷さんが亡くなられたことにより渋谷花卉園は廃業となってしまったのですが、JAみなみ信州では渋谷さんの想いを引き継ぐ形でクレマチスの生産を続けています。

日本アルプスの麓にありながら雪があまり多くなく、夜温の適度な寒さがクレマチスの育成にぴったりなJAみなみ信州で育つクレマチスは高品質で、国内外からとても高い評価を得ています。


脇役から、主役級のクレマチスへ

これまでクレマチスは、メインの花材を引き立てる「脇役」としてみられることが多い花でした。そんな中、JAみなみ信州ではクレマチスをメインの花材にすることを目指して生産を続けています。

池田さんは、花を見たら誰が生産者か分かる個性豊かなクレマチスの生産にこだわっているのだとか。日々花の生産を続ける中で、花の生産者と花は似てくるものだと感じているのだそうです。

「花卉業界全体のクレマチスの概念を変えたい」という強い思いから生産されているクレマチスは、本当に花姿も色合いも個性豊かで、私たちがクレマチスに対して持っている固定観念を覆してくれます。「LIFFT定期便」でも様々な品種をミックスしてお届けしますので、そのバリエーションの豊富さをぜひ楽しんでみてくださいね。


市場を切り開く開拓者

これまでダリアやオキシペタラムなどを生産されてきた石田さんは、クレマチスのことを「今まで出会った花の中で一番魅力的」だと語っています。花の姿形やサイズが最も多様と言っても過言ではない花であるにもかかわらず、鉢物が市場の99%を占めていることに疑問を抱き生産と育種を続けているのだそうです。

クレマチスは花や葉、茎など全てが魅力的な花です。石田さんはその美しさを理解した上で、今後は蔓性ではないクレマチスの生産に挑戦したいと考えているのだそうです。切り花に最適な形のクレマチスを生み出すため、日々育種に取り組む姿は開拓者そのもの。曲がりが少なく大輪の花を咲かせるクレマチスを目にする日も近いかもしれませんね。

また、何よりも印象的だったのは石田さんが心から楽しみながら生産に取り組んでいることでした。クレマチスの市場を大きくすることや業界を盛り上げることももちろん視野に入れているが、何よりも存在感のあるクレマチスの育種をすることが楽しくてしょうがない、とてもやりがいがあるのだとおっしゃるその姿には、思わず私たちもわくわくしてしまうほどでした。

現在は育種も積極的に行っており、現在はつぼ咲きや八重の育種が順調なのだそう。今後どんな新しいクレマチスが生まれるのか、とても楽しみですね。


日本から世界へ

日本で価値を見出され、生産が始まった切り花のクレマチス。JAみなみ信州で栽培されている繊細で美しい花姿のクレマチスは人々の常識を覆し、日本国内で高い評価を得ているだけでなく、国境を越えて人々を魅了しています。

現在も様々な品種の栽培や育種が進んでいるクレマチスが持つ可能性は無限大。唯一無二のクレマチスが今後も多く生み出されることでしょう。切り花クレマチスの栽培は日本が最も進んでいます。今後、世界中に切り花クレマチスの存在が知られ、流通するようになる日もそう遠くないかもしれませんね。

どんどん進化を続ける切り花クレマチスの世界。切り花のクレマチスを家に飾ったことがないという方も多くいるのではないでしょうか。これから初めて飾る方も、既に大好きだという方も、ぜひクレマチスの魅力に浸ってみてくださいね。

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