長野産地レポート【フラワースピリット】
「Farm to Vase」をコンセプトに採花したての旬の花々をお届けするLIFFTでは、「生産者とのつながり」を大切にしています。
お花のある暮らしを届ける「LIFFT 定期便」に同梱している冊子「LIFFT Journal」を作る上でも、花を実際に栽培している生産者の話を聞くことは必須。
その際、現地に出向き圃場に生えている花を感じながら、直接対面でお話を聞くことにこだわっています。
今回は2月号のメイン花材であるラナンキュラスを生産している「株式会社フラワースピリット」(以下フラワースピリット)さんの元を訪ねて取材を行いましたので、「LIFFT Journal」ではご紹介しきれなかった裏側をお伝えします。
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世界一の花「ラナンキュラス」
場所は、長野県松本市。訪れた日は雪が降っており、普段見慣れない量の積雪に驚きつつ(松本市は比較的降雪量は少ない地域だそうですが)、フラワースピリットの代表を務めている上條さんにお話を伺いました。
お話の中で最も驚いたことが、オランダで開催される国際園芸博覧会フロリアード(花のオリンピックのようなもの)でフラワースピリットのラナンキュラスが世界一位に輝いたということ。
つまり、世界一の花を皆さまにお届けできると言っても過言ではありません。
世界トップの品質をどのように維持しているのか。フラワースピリットさんが生産の際意識しているのは「栽培する品目の原産地の気候を再現すること」だと教えて下さいました。
品種改良を重ねても生き物である花のDNAには祖先の記憶が刻み込まれています。ラナンキュラスの生まれ故郷である西アジア~ヨーロッパ東南部に近い温度管理や風通しを調整することで、ストレスなくのびのびと成長できるとのことです。
他の生産者がこの方法を真似しようとしても、適切な環境を再現できているかは長年の経験を元にした職人並の勘が必要なため、ここでしか作れないラナンキュラスであることは間違いありません。
加えて上條さんは、「世界一位になったのに日本人はラナンキュラスのことを知らない人が多い」とも仰っていました。
この言葉を聞いて、もっと多くの人にラナンキュラスの良さが伝わって欲しいと強く感じました。
LIFFT定期便を通じて、ラナンキュラスのことを知る人や好きになってくれる人が増えることを期待しています。
花生産のプロ集団
フラワースピリットでは、ラナンキュラス以外にもトルコキキョウやキンギョソウなどさまざまな種類の花が栽培され、極めて高い品質で安定供給されています。
こんなにもたくさんの花を生産しているのは上條さん一人の力だけではありません。
代表取締役であり、創設者でもある上條さんと仲間の生産者達が集まり、立ち上げたのが「株式会社フラワースピリット」。現在は27人の生産者が所属しており、全員が折り紙付きの技術を持つ生産のプロフェッショナルです。
取材をしていく中で、なぜレベルの高い生産者ばかりが集まるのか気になりました。
その答えは、フラワースピリットが株式会社という組織体系を取っていることにあります。
花の生産を行っているところはJAを通して出荷することが多く、法人化している生産者はあまり見られません。生産者が集団になって協力して立ち上げたという会社は、特に珍しいのではないかと思います。
なぜ会社組織にしたのか伺ったところ、「初めは会社にするつもりはなかったが、別の理由で止むを得なく会社を立ち上げたんだよ。安定した生産量の確保という面でも、品質の向上の面でも、結果的に組織化したことでうまく回るようになった」と話してくれました。
つまり、会社化することで組織的に生産技術の共有や伝達が行いやすくなると言うことです。これが、高い技術力を持った生産者が多い所以でもあります。
これからのフラワースピリット
取材中に、試験段階でまだ世に出回っていない品目の花を数種類見せていただきました。
どの花も今までの常識を覆すような特徴を持っており、この花達が市場に出回ってたくさんの人を驚かせ、喜ばせることを想像するととても楽しみです。
また、上條さんは花業界の課題についても言及されていました。
日本の切り花は、販売単価が高く高価なイメージが定着しているため、消費者が気軽に買いづらい現状があるというものです。
この課題を解決するには、生産者と花屋さんが手を組み、協力してより多くのお客様にもっと手軽に花を楽しんでいただくにはどうしていくべきかを追求する必要があるかもしれません。
LIFFT定期便はその課題解決の第一歩になれるようなサービスを目指し、引き続き多くの生産者さんとご一緒させていただきながら、これからの「花のある暮らし」をご提供していきます。